目が覚めた。
 夜明けを待てず、眠ってしまっていたらしい。
 わずかな木漏れ日が命をつないでくれていた。
 頭が重い。
 体がこわばっている。
 寒さはあまり感じない。ただ体が痛かった。
 大木の切り株で、あゆを待っている。
 消えてしまったあゆを待っている。
 忘れていったリュックを抱えて。
 ぶらさがった天使の人形が揺れている。
 かなえてやるべき願いがまだひとつ残っている。
 だから、ここで待っているのだ。
 されど希望を失うなかれ。
 どういうわけか、また会えそうな予感がするのだ。
 再会のあとには、幸せなエンディングがあるだろう。
 太陽が高くなり、また傾いてゆく。
 固くなった手足をほぐして、切り株に座り直した。
 次はうまくやらないと。
 そんなことを思う。
 どうして次なんて思ったのか分からない。
 あるいは夢の記憶が残っていたのかもしれない。
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