お昼ご飯は大変おいしゅうございました。
作ってもらったのだから、と洗い物を済ませてコタツに戻ると彼女はテレビを見てい
た。
「なあ…」
「……」
「……」
「……」
「あの」
「ちょっと黙ってて下さい」
今度はテレビに負けた。切ない。
何の番組かと思ったら、以前賞を取ったやつだった。評判良かったのは知ってたが、テ
レビ化してたのか。
2位
友人以上恋人未満から(作者:つうじいさん)
有効票 | 24 | |
1 点 | 0 | (0%) |
2 点 | 0 | (0%) |
3 点 | 1 | (4.17%) |
4 点 | 2 | (8.33%) |
5 点 | 4 | (16.67%) |
6 点 | 6 | (25.00%) |
7 点 | 3 | (12.50%) |
8 点 | 3 | (12.50%) |
9 点 | 1 | (4.17%) |
10 点 | 4 | (16.67%) |
誰もが憧れるような、至極真っ当なラブコメだった。明太子は御免だが。
「面白かったな」
というか女優が可愛いかった。もっと固いイメージだと思っていたのでそのギャップに
もやられた。まさかあれほど恋する乙女が似合うとは。転げ回ろうとしたがコタツの足に
阻まれた。食事前だったら「これでご飯3杯はイケル」とか言ってたかもしれない。
というか、名前と顔が一致する程度の俺でこれだから、ファンの人間は今頃テレビの前
で悶え死んでいるんじゃなかろうか。
すげえ。俺今大量殺人の瞬間を目の当たりにしてるよ。
などと思っていると彼女はまだぼぅとテレビを見つめていた。まだ面白いもんでもある
のかと思ったが場繋ぎの番組が流れているだけだった。
「どうした?」
「え? へっ?」
「なんか変だぞ?」
「へ、変ですか?」
「変だな」
「えと、あの……その……」
「なんだ?」
「その…ゆ……ゆ、祐一さん」
耐え切れず吹いた。
なんだ。同性の目から見ても恋する乙女は魅力的だってことか? というか考えてみれ
ばヒロインと同じ年なんだから、感情移入してしまうのも仕方ないか。いやはや、それで
も、それだと配役が逆じゃないか。ドラマのように髪を撫でてやる。配役逆だけど。
「な、なんですかもうっ。どうせ似合いませんよ」
「いやいや可愛いって。ドラマの真似するあたりが短絡的で」
「も、もういいませんっ」
「ごめんて。許してくれよ美汐」
「簡単に呼ばないで下さい」
「んなこと言われても……なあ?」
「何がなあですか。誰に言ってるんですか」
「男ってのは、100%好きな女の子の名前を脳内で呼び捨てにしてて、その半分はいつ
でも呼べるように練習してるもんなのだ」嘘だが。
「そ、そうなんですか…」
「いたたまれない程に恥ずかしいが、そこは思いの強さで乗り越えるわけだ。恋する乙男
なんだ」
「乙男…」
「乙男」
「きも」
ひどい。全俺が泣いた。
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