「夢。
夢を見ている。
暗……ってうわ、だ、誰だこんな夜更けに?」
「いよう久瀬、夜更けってほどじゃないだろ……って、明かりも点けずに一人で何やってんだ?」
「き、北川君か。ぼ、僕は生徒会の残務整理をしているところだ。勝手に入ってこないでくれたまえ」
「ほー……ま、そういうことにしとくぜ」
「……そ、それより君こそ何の用だ? 用がないなら出て行きたまえ」
「まあまあ、カタいこと言いっこなし。ちょっと外に出てみなよ。壮観だぜ」
第3位 『春』 雨音さん
55.25ポイント
「強い願いが形を成す。いい話だねぇ」
「ふむ。想いが形を成す……か」
「うう、こういうの、思わず涙腺にきちまうんだよなぁ」
「そうかね。僕にはただの狂い咲きにしか見えない」
「ええ? これがか?」
「うむ。あり得ない事かもしれないが、それがその妖狐の願いだとは言い切れないだろう。寧ろ全く別個の要因によるものである可能性が高い」
「だぁぁぁ! どうしてお前はそういう……」
「だが」
「……ん?」
「どちらであっても構うまい。残された者がどう受け取るかの問題なのだ。こういう愛の形もあってもいいかもしれない、と思った」
「……」
「……」
「……似合わないか?」
「全然」
「で、今度は何処に連れて行くんだ」
「んー、そうだな……」
「勿体を付けるな。僕は早く戻らなければならないのだ」
「まぁまぁ、そう言うなよ。次も結構いい話だぜ」