学校から走ってくる人が一人、
その後ろではなにやらすごいことが・・・
「いくら名雪さんでも祐一さんは渡しません」
そしてポケットからアイスを取り出して投げる
「うにゅ〜私だって祐一のためならみんなを敵に回したって勝ち残る!!」
と言ってけろぴーでアイスをよける
「さすが名雪さん、やりますね・・」
「栞ちゃんもなかなかだよ」
そしてまた、ぎゃーぎゃーわーわー・・・・
・・・・・

別の場所では・・噴水のある公園
「あはは〜舞の勝ちのために(本当は佐祐理のためだけど)負けてください」
「私だって栞のために(実は自分のためだけど)負けられないわ」
一方はメリケンサック、もう一方はおもちゃのステッキらしきもの
「あはは〜いきますよ〜!!」「先輩でも手加減しないわ!!」
次の瞬間 ヒュッ・・・ドスッッッ!!!!
約十メートルあった距離が一瞬にして縮まり、バトルが始まる

そのころ学校では・・
静かな校舎に刃物と刃物がぶつかり合う音が聞こえてくる
「川澄先輩、お強いですね・・」
「そんなことない、・・美汐も強い」
日本刀と剣がぶつかり合い体勢を崩した二人は距離を置く
周りからだと侍と剣士が戦ってるようにしか見えない
そして体勢を整えるとまた・・
「はああああ!!」
「・・・・・せいっ!!」

水瀬家でも・・
「うぐぅ、秋子さんさっきのこと本気なの?」
「はい、本気ですけどなにか問題でも?」
「え、えーと・・だって秋子さんとも戦わなきゃいけないし・・」
「あゆちゃんひとつ忠告ですけど、痛いのとジャムどっちが好きですか?」
「うぐぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜どっちも嫌い〜〜〜〜〜〜っ!!」
「祐一さんとの未来のために犠牲になってくださいね!!」

ここは、ほぼ毎日来ている商店街
「はあ・・はあ・・まさかこんなことになるなんて・・・」
休憩をとりつつ考えていた。
「どうにかして、みんなを止めなきゃなぁ・・・」
そして、祐一は昼に起きたあのことをおもいだす・・・・
〜昼休み〜
「祐一〜お昼だよ〜」
「言われないでも分かってるよ、今日は学食だよな早くいこうぜ」
俺と名雪と香里で学食へ行く途中
「でね佐祐理がね〜・・舞どーしたの?ん、あっ!・・祐一さ〜ん」
「あれ?佐祐理さんこれから昼食ですか?」
見慣れた二人、舞と佐祐理さんが俺たちに気づいて声をかけてきた
「あはは〜そーですよ、お弁当ありますしご一緒してもいいですか?」
「私はいいわよ」「うにゅ〜全然オッケーだよ」
「よし、じゃあ行こうか」
・ ・バシッ!!
「痛っ!!何すんだよ、舞」
「私だけ置いていこうとした・・(怒)」
舞は少し涙目になってこっちを見る、まあそう言うところが可愛いんだけど
「冗談だよ、今度タコさんウィンナーやるから機嫌直してくれ」
「・・・・はちみつくまさん」
香里が不思議そうに
「こんなに席空いてるかしら?」
「うにゅ〜別の場所さがす?」
学食はお昼という時間のせいもあり、この人数で座れる場所はなさそうだ
「あはは〜そうだ!屋上の踊り場にいきません?結構穴場ですよ〜。」
「・・・・はちみつくまさん」
「じゃあ、屋上に行くか。みんないいよな?」
と、そのとき
「相沢さん、こんにちは」
「よう天野、真琴は一緒じゃないのか?」
すると天野の後ろから
「あぅ〜いるわよ、どこに目をつけてんのよバカ祐一」
「お。ちっちゃくて見えなかったよ。悪いな。」
「むー。ちっちゃくないもんっ!!アホ祐一」
「真琴、そういう口の利き方はいけませんよ。」
「あぅー。」
真琴は天野に注意され、落ち込んだ。
「天野たちも昼飯か?」
「はい、それで相沢さんを探してたんです・・・(照)」
「あぅー。あのね、お弁当作ってきたんだよ。あたしが一生懸命作ったんだから食べてよね!!」
「コホン。・・・私が教えて作ったんですけどね。(ニコリ)」
「おー。そりゃ楽しみだな。じゃあ、みんなで屋上の踊り場に行くか」
「祐一く〜ん」「祐一さ〜ん」
っと、同時に声がして振り返るとあゆと栞が走ってきた
「みんなお揃いで何かするのですか?」
「わかった!みんなできもだめしだね!」
「するか!!」
あゆのボケ(天然)につっこみをして
「これから飯にするんだ、おまえらも来るか」
「もちろんです。そのために今日も祐一さんにいっぱい作ってきたんですから」
っと言って栞は両手に持っていた弁当を前に出す
「すごい量だな・・・」
「はい、祐一さんへの愛の大きさですから・・・(赤)」
栞が顔を真っ赤にして照れくさそうに視線を下げる。あゆが横から
「ボクも今度作ってこようかな」
「やめとけ、どうせ真っ黒な弁当が出来るのがおちだ」
「うぐぅ〜、そんなことないもん!」
など、あゆと会話していると佐祐理さんと香里と美汐が
「あはは〜さすがにこの人数は多いいですよ〜」
「こんなに人が集まれる場所あったかしら?」
「九人ですからね・・教室にでもしましょうか?」
他のメンバーは、
「おなかすいた・・」「あぅ〜おなかへった〜」「うぐぅ〜おなかすいたよ〜」「うにゅ〜おなかぺこぺこ・・」など言っている。
そして栞が
「それなら中庭にしませんか?あそこ、すごく広いですし」
みんな納得して中庭に向かった。これから起こることも知らず・・・



みんなでおしゃべりをしながら弁当を食べていた
弁当を食べ終えて一息ついていると、あゆがもじもじしながら
「祐一君あのさ・・・えーと・・」
「どーした、あゆ?言っておくがここにはタイヤキはないぞ」
と、からかうと
「うぐぅ〜ちがうもん、あのさ・・祐一君って・・・」
「俺がどーかしたのか?」
「その・・えと・・祐一君はどんな女の子が好きなのかなって思って・・」
あゆの言葉で八人の美女たちがいっせいに俺を見た
「だって、お料理できない女の子は嫌いだったら、ボク今から練習しなきゃいけないし・・」
「あゆ・・それって・・・」
あゆは思い出したように
「えっ・・あ〜〜〜〜、ちがうよ、だからそー言う意味じゃなくって・・」
取り乱したあゆは顔を真っ赤にして一人暴走していた、そして他の人たちは・・
「祐一さんは料理できる人がタイプなんですか?」「あはは〜だったら佐祐理の事ですね」
「え!?あたしだってお弁当作れるもん!!ほら!!」「私が教えたんです!だから私が料理上手ってことです。」
「・・・。」「うぐぅ・・・やっぱりボクも料理勉強しなきゃ!!」
「祐一〜、あたしも毎日お母さんのお手伝いしてるから上手だよ〜?」
「ちょ・・・ちょっと待て!!なんでそーなってるんだ!?!?」
「え!?じゃあ、料理できない人でも好き?」
「う〜ん。そりゃ出来るほうがいいけど。・・・ってそーじゃなくて!!」
なんで話がそうなってるんだ!?
みんなが暴走しはじめた、その時
「あら名雪こんなところにいたの?みなさんもお揃いでこんにちは」
いつもの笑顔で秋子さんが・・・
「・・って、なんで学校に秋子さんがいるんです?」
「名雪の体操服を届けに来たんです」「わぁ、忘れてたよ〜ありがとうお母さん」
「それより何かあったんですか?祐一さん」
さすがに好きなタイプを聞かれてた何て言えないよな、
「いや〜その〜・・いろいろありまして・・」
「そうだ、聞いてよお母さん祐一はどんな人が好きなのか調べてたんだよ。」
「うぐぅ・・・祐一くんは料理ができる人が好きなんだよ。」
またコイツらは好き勝手いいやがって・・・
「私、知ってますよ。」
「ええぇぇぇぇぇぇ!?!?」
ニコリと微笑む秋子さん
「えっと・・・秋子さん、何を知ってるんですか?」
「祐一さんの好きな方のタイプ知ってますよ。」
「えぇ!?」「なんでなんで!?」「なんで秋子さんが知ってるの〜???」
俺が聞きたいよ!!!(汗)
秋子さんは笑顔を変えずに口を開いた
「この前の夜に・・・」
「夜!?!?」「祐一さんと秋子さんの間にどんな関係が!?」「お母さん〜(泣)」「・・・」
「えぇ!?夜!?俺なんかしましたっけ!?!?(汗)」
「あはは〜祐一さん、何焦ってるんですか?もしかして本当になにかしたんですか!?」
「してません!!!誤解しないでくださいよ、佐祐理さん!!」
「あぅ〜、そんなことより・・・どんな人がタイプなの?秋子さん!!」
「うふふ、みんな元気ねぇ。祐一さん、お強い方がタイプなんですよね。」
「・・・は?」
・・・。
「強い人が好きなの?祐一?」
その名雪の一言で一瞬とまった空気が変わった
「そうなの!?祐一くん!!」
「祐一!!強い人が好きって初耳だよ!!」
「・・・(照)」
「きっと私のことですね!!辛い病気にも耐え、こんなに元気で可愛い、私のことですよね?祐一さん!!(妄想モード)」
「・・・(怒)」
「栞、バカなこと言わないの。」
「そうですよ、そしたら舞のほうが強いです。あはは〜。」
「むっ(怒)うちの妹のほうが強いわよ。」
「お姉ちゃん・・・さっきと言ってることが違うような?」
「うぐぅ〜。ボクのこと忘れてない?(泣)」
ちょっと待てちょっと待てちょっと待て!!!!!!!!!!!!
「分かったよ祐一」
「・・・え?俺しゃべってたか?」
「うん、バッチリ☆」(全員)
この、くせ、なんとかならんかなぁ・・・
そんなことより、俺、そんなこと言ったか?
〜この前の夜〜
「あら、祐一さん何見てるのですか?」
「これですか?K1ですよ、俺、好きなんですよ」
「あら?戦ってるのですか?」
そーか。この家には名雪と秋子さんしかいないから二人の雰囲気からしてこういう番組には縁がないんだろうな
「こういうのが好きなんですか?」
秋子さんは不思議そうに。テレビを見ている
「好きなんですよ強いやつって」
「・・・そうなんですか。きっと魅力があるんですねぇ。」
「???」
秋子さんは静かに微笑むと台所に戻っていった

「・・・あれかぁぁぁぁぁぁ!!!!!????」
思い出した思い出した!!
「好きって言いましたよね?祐一さん。」
ニコリと微笑む秋子さん。その笑顔はいつもと違っていた
「ぇ・・・えぇ・・・確かに言いましたけど、あれは・・・」
「やっぱり強い方がお好きなんですね、相沢さん」
「!!それは誤解だ、天野!!」
どうして、こんなことになってんだ!?
「あ〜〜〜っ!!それイイね〜!!!!!!!」
「今度はなんだ!?」
俺の気づかないうちに、俺と天野に少し離れて、残りのメンバーがなにか話している
「美汐もおいでよ!!今ね、秋子さんがすごい事思いついたの!!」
「はい、真琴、今行きます。」
おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおいおい
今度はなにを話してんだ、おい。
「相沢くん、今からルールを説明してもらうからこっちにきてくれない?」
ルールってなんだYO!!(壊れ気味)
「じゃあ、ルールを説明するわね、わかんなかったら手をあげて聞いてね。」
秋子さんは、まるで幼稚園児にでも説明するかのように笑顔で話しはじめた
「えっと、まずこのバッチを二つつけてください。」
「は〜い」
秋子さんはスカートのポケットからバッチを取り出す
どうして持ち歩いているんだろう・・・
「わぁ、このバッチかわいいです。舞とおそろいだね。あはは〜。」
「・・・はちみつくまさん(嬉)」
てか、みんな柄はいっしょだぞ
「・・・祐一ともいっしょ。」
「あ・・・あぁ。そうだな・・・。」
てか、みんないっしょだって・・・
「で、で?次は次は〜?」
「真琴、少し落ち着きなさい。バッチ取れかかってるわよ。ほら。」
「おまえは落ち着きすぎだ。」
「そうですか?」
「うぐぅ〜!!次は?秋子さんっ♪」
「そして、これから個人で戦って、バッチを取り合ってもらいます。」
「うにゅ?お母さん、どうしてバッチ取り合うの?このバッチお家にいっぱいあるからあげてもいいんじゃない?」
「くすくす。このバッチを二つ全部取られた人は負け。最後に一番多くバッチを手に入れた人が勝ち。勝った人はもちろん・・・。」
「一番強い!!!」(全員)
おい
「じゃあ、その人が祐一のタイプってわけだね!!」
おい
「負けられないですね〜。あはは〜。」
佐祐理さんまで・・だれか止めようと思わないのか・・?
「あ、お母さん・・・」
名雪、もしかして止めようとしてるのか!お前はまともなヤツだよな!!
「武器の使用っていいの〜?」
・・・武器?
「了承。」
了承じゃねぇ〜〜〜!!
「今日はがんばるわよ!栞」
「はい!お姉ちゃん、祐一さんのために本気でがんばります!そして優勝して、祐一さんと・・・えへへへ〜(妄想モード)」
「栞・・よだれが出てるわよ・・ふう、まったく(相沢くんまっててね☆)」
「真琴もまけないよ〜」
「勝てば・・相沢さんの・・か・彼女・・ふふ・・・ふふふふ・・・」
「あう〜美汐なんかキャラ変わってる・・・」
「あはは〜みんなやる気満々ですね〜舞」
「・・・負けない」
「うにゅ、わたしもがんばるだお〜!」
「うぐぅ、みんな殺気立ってるよ・・こわいよ〜・・(怯え)」
「うふふ、楽しくなってきたわね祐一さん」
「楽しくなんかないですよ!!!」
「祐一・・・がんばれ」
舞から応援された
「俺もやるのか・・」
「(コクン)」
はぁ・・だれかこいつらを止めてくれ・・・・・・・・・・

そして今は・・・
「そろそろ策を打たなくちゃな。」
さすがに俺でもあいつらと戦うわけにはいかないしな
「やっぱ、終わるまで逃げるしかないよな・・・」
など考えていると、後ろから
「はぁ、はぁ、見つけた〜・・祐一、はぁ」
走ってきたから息を切らしている真琴がいた
「もう、逃がさないんだから!」
「だから何で戦わなきゃいけないんだよ!」
「だって・・・あれ?なんで祐一を追いかけてたんだっけ?」
こいつは・・・まてよ真琴は忘れてるんだからこのままごまかせば
「どうせ暇なんだろ?これから散歩しないか?」
「あぅ〜何か忘れてる気がするけど、うんいいよ」
そして俺と真琴は理由もなく噴水のある公園に向かった

〜一方そのころ学校では〜
最初から本気でぶつかり合っていた美汐と舞はさすがに疲れが溜まってきていた
「川澄先輩、一つ提案があるんですけど・・」
「・・・?」
ふぅ、っと息をつき手に持っていた刀をおろして美汐が話し始めた
「ここでは、狭くて動きずらいので少し場所を変えませんか?」
「・・・はちみつくまさん」
「では、公園なんてどうですか?噴水のある」
「・・・おなかすいた」
そして学校を後にした

美汐と舞が学校を出る少し前の校門前
「名雪さん、もうそのカエルの人形はつかえませんよ」
「ケロピーがどろどろだよぅ、ひどいよ栞ちゃん。」
「ごめんなさい、でもこれも祐一さんのためです。さあ、覚悟はできましたか?」
っと、言いながら何やらポケットに手を入れて何かごそごそ探し始めた
それを見ていた名雪が
「うにゅ〜これだけはしたくなかったけど・・逃げるが勝ちだよ〜〜〜!!」
「あっっ!!逃げるなんてずるいですよ〜!待ってください、名雪さん!」
そして二人は走り去っていってしまった

〜噴水のある公園〜
バキッッ!!!ドカッッ!!!
「あはは〜もうそろそろ決着つけましょうか」
「言われなくてもそうするつもりよ!」
次の瞬間二人の目に入ったものは・・・
「あれ?栞?」「あっ、舞?」
名雪を追いかけている栞と舞のあとをついてくる美汐の姿だった
「あの子何やってるのかしら・・あっ!!」
香里が見たのは膝をついて苦しそうにする栞の姿だった
「!!栞っっっっ!!」
すぐに栞の所に向かう香里
「えっ?えっ?佐祐理はどうすればいいんですか?」
戸惑う佐祐理さんに向かって走ってくる舞
「佐祐理・・・逃げる・・」
「ほえ〜、何で逃げるの?舞?」
と、聞くと
「佐祐理を傷つけたくない・・それに・・おなかすいた」
「あはは〜わかったよ!舞」
そして追いかけてくる美汐から逃げるように二人は走り出した

俺と真琴は公園の少し前の場所を歩いていた
タッタッタ
前から後ろを向きながら名雪が走ってくる
「おいっ、名雪」
声をかけると
「あれ〜祐一、こんなところで何してるの?」
息を整えながら話してくる
「これから、公園に行くの。」
嬉しそうに話す真琴
「今ね〜行かないほうがいいと思うよ・・」
少し疲れ気味に話す名雪
「何でだ?」
「え〜と、すごいことになってると思うから。」
「すごいこと?気になる〜!真琴、先に行ってるね!!」
元気に早足で公園に向かった
「名雪・・すごいことって何だ?」
「実は・・・ごにょにょ」
「なに〜〜〜〜〜!!香里と佐祐理さんが戦ってた!?」
「うん、ちらっと見たんだけど・・地面がえぐられてたりベンチが壊れてたりしてたよ」
想像するだけでも寒気がしてくる・・
「逃げるぞ!名雪!!」
「えっ?でも真琴が・・」
「今は、人の心配なんかしてる場合じゃないだろ!!」
「ちょっ、ちょっとまってよ、祐一〜〜」
そして公園から離れていく・・公園から「あう〜〜!!」っと聞こえたが無視して逃げた



ケホケホ・・・
「う・・・こんなとこで倒れたら、やられちゃう・・・けほ。」
栞は病気は治ったが長い間体を動かさなかったため急な運動をすると咳き込んでしまう
「どこかに隠れて落ち着こう・・・あっ!!」
立ち上がろうとした瞬間、目の前に人がいることに気づいた
「お・・・お姉ちゃん・・・。」
「・・・栞。」
香里だった
この状態では栞に勝ち目はない
「お姉ちゃん・・・いいよ。私、このままじゃ戦えないし・・・それに・・・。」
お姉ちゃんと戦えないよ。お姉ちゃんのこと傷つけたくない・・・だって・・・
「お姉ちゃん。私を倒して、祐一さんと幸せになってなって。」
私の得意な笑顔。お姉ちゃん、私、笑ってるよね?
誰よりも大好きな、お姉ちゃん。
スっと香里は栞に近づく。そして手を上にあげた
ぎゅっと栞は目を瞑った。
「・・・ばか。」
栞に触れた手は暖かく、優しかった
「・・・?お・・・ねぇちゃん?」
「本当にばかね。私があなたをたたくと思った?攻撃すると思った?」
香里は強く、栞を抱きしめた
「そんなことできるわけないじゃない。私はあなたのこと大好きなんだから。」
大事な妹なんだから・・・
「お姉ちゃん・・・っ!!」
「栞・・・」
「ふぇ・・・ぇぇ・・・・」
「本当にばかね。こんなとこで泣かないの。」
「ぐしゅ・・・ふぁぃ・・・・うぇぇん・・・。」



「うぐぅ〜・・・全然バッチ取れないよぉぉ・・・。」
水瀬家を逃げ回っていたあゆはソファにボフンと倒れこむ
「だってだって・・・みんなよりちっちゃいボクは絶対不利だと思うんだよねぇ。」
舞さんとは戦いたくないなぁ。栞さんもたまに何考えてるかわかんないし。
美汐さんは途中で別人みたいになっちゃって怖かったし・・・。でも・・・一番戦いたくないのは・・・
「あら、あゆちゃん。」
ビクッ!!
「あ・・・秋子さん!?ご・・・ごめんなさい、勝手にいろんな部屋に入っちゃった」
「いいのよ。ここはあゆちゃんのお家でもあるんだから。」
秋子さんはいつもと変わらない笑顔でそう言った
暖かいなぁ、心地いいなぁ
「そういえば、バッチは取れました?」
「えっ!?・・・ううん、ぜんぜんだよぉ。」
「そうですか・・・じゃあ、戦わなくちゃいけませんねぇ。」
「えっ!!」
秋子さんは少し残念そうな顔をしてあゆに近づいてくる
「・・・やっ!!だめだよぉ!!」
「でもバッチを手に入れないと、祐一さんのタイプの方になれませんよ?」
「うぐぅ〜・・・でも・・・だめなの・・・。」
お母さん・・・いなくならないで・・・
「あゆちゃ・・・」
「いやなの!!お母さんみたいに大事な人がいなくなっちゃうのは・・・」
秋子さんがいなくなっちゃうのはいやなの!!
「うぐうぐ・・・・ぇぐ・・・」
「あゆちゃん。私はいなくならないわ。」
秋子さんは身を屈めてあゆと同じ目線になる
「うぐぅ〜・・・バッチ・・・秋子さんにあげるから・・・戦いたくないの・・・えぐ」
「あゆちゃん、私はここにいるわよ。
大丈夫。ずっとずっとここであゆちゃんの好きなたいやき作ってあげるから。だから泣かないで。」
なでなで 
「うえぇぇぇん・・・あきこさんっ・・・えぐ・・・」
秋子さんはいい匂いがする。お母さんの匂い
「私もあゆちゃんと戦うのは嫌ですよ。あゆちゃんのこと大好きですもの。」
ボクも・・・秋子さんのこと大好き・・・


「あぅ〜!!負けないんだからー!!」
「かかってらっしゃい、真琴。」
数時間前は綺麗にアイロンのかかっていた制服も今や見る影もない。
整えられていた髪形も乱れ、愛らしい顔にも土やホコリで汚れていた
「そのバッチをもらって、祐一と結婚するの!!」
「なに言ってるの、料理もまともに作れないでしょう。」
「いーの!!祐一は強い人が好きなんだから!!」
「強くたって、根はちゃんと女らしい人がいいに決まってます。
料理、洗濯、掃除、茶道、華道、全てをマスターしてる、私のような女性がいいに決まってます。」
「あぅ〜!!それじゃあ、あたしがなんにもできないみたいじゃん!!」
「そう言ってるんです!!」
「あぅ〜・・・美汐なんて大嫌い!!」
真琴は砂場の砂をつかんで美汐に投げつけた
「きゃっ!!」
急な攻撃に美汐はふらつき、公園内にある噴水に落ちそうになる
「!!??美汐っ!!!!!」
バシャーーーーーーーン!!!!!
「つ・・・冷たっ・・・・・・・・・・真琴!?」
一言文句を言ってやろうと真琴の居た位置に目を向けたが真琴の姿はない
「あぅ〜・・・ここだお〜・・・」
「え!?・・・きゃ!!なにしてるの真琴!!」
真琴は美汐の下にいた
美汐を助けようと一緒に噴水に飛び込んだのだ
「あぅ〜・・・どいてほしぃんだけど・・・」
「あ、ごめんなさいっ!!」
美汐は顔を真っ赤にして真琴の上からどいた
「真琴・・・どうして?・・・私を倒すのには絶好のチャンスだったはずでしょう?」
「あぅ〜・・・それは・・・」
もじもじしだす真琴
「美汐のこと助けなきゃって思って・・・体が勝手に動いたの・・・。」
「・・・真琴・・・。」
「さっきはごめんなさい。美汐のこと大嫌いって言って。あたし、美汐のこと大好きだよ。」
「・・・私もごめんなさい、真琴。頭に血が上ってたとはいえ、ヒドいこと言ったわね。私も真琴のこと大好きよ。」
「くすくす・・・本当、美汐すごかったんだよ。人が変わっちゃったもん」
「そうですか?自覚はないんですけどね。真琴もあんなに必死になるなんて・・・本当に相沢さんのこと好きなんですね。」
「あう〜恥ずかしいなぁ。・・・でもあたしちょっと思ったんだ。」
「なんですか?」
「今は美汐といっしょにいたいってこと!!」
くすくす・・・
二人は噴水の中で笑いあった
いつもの美汐と真琴がそこにいた


そして、最初に集まっていた中庭に栞、香里、秋子さん、あゆ、美汐、真琴が戻ってきた
「おかえりなさぁ〜い、あはは〜。」
「・・・もぐもぐ」
そのメンバーよりも先に戻ってきていた舞と佐祐理は、お弁当を食べていた
「随分、早く戻ってきてたんですね。」
「はい、だって舞が・・・」
「あぅ?舞さんがどうかしたの?」
「あはは〜舞が、大好きな佐祐理を傷つけたくないって。戦いになりませんから、戻ってきてごはん食べてたんです。」
「・・・(照れ)」
「あ、舞照れてる〜可愛い、はい、タコさんウインナー」
「くすくす。まったくどこも同じようなことしてるわね。」
「そうだね、お姉ちゃん。」
「みなさん、気づきましたか?」
秋子さんがしゃべりだす
「自分にとって、今、一番大事な人・・・一番、そばにいたい人・・・。」
香里と栞、真琴と美汐、舞と佐祐理、そしてあゆは秋子さんの手をぎゅっとにぎった
「祐一さんは素敵な人ですね。こんなにいい子たちに好かれるんですから。」
秋子さんはそう言ってあゆちゃんに微笑みかけた
「祐一くんといっしょにいたいって思うけど、ボク、秋子さんともいっしょにいたいよ。」
「私もよ。相沢くんをめぐって、いい争いはしたくないわ
。大事な人を傷つけるんじゃなく、大事な人にも認められるような、そんな人になる努力をしたいわね。」
それを聞いて、みんなはうなずく
「あ!!名雪さんと祐一さんがいない!!」
「本当だ!!・・・どこに行っちゃったんだろう?」
「もしかして、二人っきりで!?」
「お姉ちゃん、帰ろう。絵のモデルしてほしいな。」
「・・・そうね。今日は名雪に譲るわ。くすくす。帰りましょう栞。」
「私も制服びしょびしょだし、アイロンかけなくては。真琴のもかけてあげるわね。」
「うんっ」
「じゃあ、あゆちゃん。一緒に夕ご飯作りましょうか。」
「うぐぅ〜。おなかへっちゃった!!」
それぞれが、帰るべき場所へに帰っていく


「うーん。そろそろ落ち着いたかな?」
「どうだろうねー?みんな燃えてたもんね。」
「お前は燃えてないのか?」
「だって、祐一はここにいるもん。」
「そういう問題か?」
「そういう問題だよ。」
「なんでこんなことになったんだろーなぁ?」
「それは・・・みんなが祐一のことが好きだからだよ。」
「そうか?ふざけてるだけじゃないか?俺なんかのこと好きなわけないだろ〜」
コツンッ
「いて・・・名雪?」
小さなこぶしが落ちてきた。痛くなかったが名雪がこんなことをするのは初めてだった
「ダメだよ。そんなふうに言っちゃ。」
「・・・。」
「みんなすっごくすっごく好きなんだよ。本気で戦ってたんだもん。だからそんな失礼なこと言っちゃだめ。」
「名雪・・・。」
「・・・それと。「俺のことなんか」・・・じゃないよ。祐一は素敵な人だよ。」
にっこり笑う。いつもの名雪だった
「あ・・・あぁ。ありがとう・・・(照れ)」
「ううん、叩いちゃってごめんね。痛かった?」
「いや、あんなの全然痛く・・・。」
「・・・祐一の好きなタイプって・・・強い人なんだよね。」
名雪は寂しそうにうつむく
「おい。」
「なぁに?祐一。」
「コレ、おまえにやるよ。」
「これって・・・バッチ?」
「おう・・・。」
「なんで?これは祐一のだよ?」
「さっきのゲンコツ・・・効いたんだよ。」
「え?やっぱり痛かったの?大丈夫?」
コイツは・・・(笑)
「だから、もらっておけ。」
「病院行く?」
「違くて!!」
「?」
「だーかーらー。俺はおまえのこと強いって思ったんだよ。だからやる。」
「うーん。祐一ってよくわかんない。」
「俺はおまえのほうがわかんないよ。」
「じゃあ、私の勝ちかな?」
「そういうことになる・・・かな?」
「じゃあ、いっこお願いかなえてくれる?」
なんだか目的が変わってるような・・・?
「今日、これからイチゴサンデー食べにいこうよ。」
「俺のおごりだろ?」
「もちろんだよ。」
俺のタイプかぁ・・・あたってるかもな
自分の意志の強い、そんな女の子。

(名雪・・・好きだ。)

「ん?なぁに祐一。」
「なんでもねぇよ。」
「私も好きだよ、祐一」
「!?・・・まさか・・・俺・・・」
「バッチだけに・・バッチリ言ってたよ、祐一。」
「うがぁぁぁぁぁっ!!やっちまった!!!つーかさみぃよそのギャグ!」
「ほら、早く行かないと、お店しまっちゃうよ。」
そして名雪は走り出す・・・

「っとに・・・おまえには負けるよ。」



えんど。

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