前書き
この作品は祐一視点です。
結構訳分からない部分があります。
最後が中途半端かもしれません。
と言うか物語り全般が中途半端です。
それでも構わないと言う心の広い方のみご覧ください。

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『思い出と共に』



俺の名は相沢祐一
クラスメートからは女たらしとか、ヤングハーレムとか言われているがそれは違う!!
俺はこの冬偶然出会った薄幸の病弱美少女、美坂栞と正式に付き合っているのだ!!
フッ
萌え、イや、燃え上がるほどの熱愛っぷりに嫉妬した野郎共の視線が痛いぜ...
「誰に対して説明してるんですか?」
俺がひたっていると隣から俺のスウィートマイハニー美坂栞が突っ込みを入れてきた
「気にするな、つ〜か何故俺の考えが分かった?」
「相変わらず口に出てますよ?」
またか・・・俺のこの考えてる事が口に出ちまうぜ病には困ったもんだベイベー...
・・・なんか虚しくなって来た。普通に話そ...
カラン・カラン・・・
「いらっしゃいませ〜!」
ドアが開く音の後に従業員の明るい声が聞こえてくる。
そう、俺は今、栞と共に百貨屋に来ている。
まあ詳しく言うなら栞に吊れられて奢らされに来たという訳だ。
「こちらの席へどうぞ〜♪」
ウエイトレスの誘導により我々は所定の席へ移動した
・・・何人だよ俺?
「ご注文お決まりになりましたらお呼び―」
「あっもう決まってます」
ウエイトレスが言い終わる前に栞が話し出す。
まあいつもの様にパフェとかアイスの類だろう。
俺がそう考えていると、栞がメニューを見て注文する
「この特選よりすぐりメニュー響鬼をお願いします」

・・・間

「マジデ!!?」
「マジです♪」
「・・・分かりました」
突然従業員がシリアス顔になったのと対照的に栞は惚れ惚れする笑顔で答える
ああ、すっげえ抱きしめてぇ
だが俺は硬派な男だ...何の脈絡も策略も無しにそんな事はしない
っと、そんな事を考えてる間にウエイトレスは去っていった
何故か指笛を鳴らし、犬を引き連れ、凄く楽しそうにドナドナを歌いながら・・・
「なあ栞・・・」
ウエイトレスの態度が気になったので俺は栞に疑問に思った事を聞く
「はい?」
「今頼んだ特選なんとかって何だ?」
「特選よりすぐりメニュー響鬼、です♪」
だから何だ、そのいかにも怪しいメニューは・・・
「別に怪しくないですよ?」
・・・どうやらまた口に出してしまったらしい、もういいや、気にしない事にしよう
「名前からして十分怪しいと思うんだが・・・」
「怪しくないですよぅ」
ちょっと拗ねた様に話す栞
「・・・でも」
そこで人差し指を口元に持っていき、何か考えるような仕草をする。
「きっと楽しいですよ♪」
彼女はそう笑顔で言い放った。
その笑顔に魅せられて、少し見とれてしまっていた。
「・・・そうか」
見とれていた事を気付かれないように、なるべく平静を装って頷く
そして、しばらく雑談していると俺たちの居るテーブルにウエイトレスがやってきた
「お待たせしました。カップル限定メニュー響鬼初級編、『男と女の狂喜の祭典食べる時は口移しかハイ、アーンで食えるもんなら食って見やがれ。』です」
「はっ?」
俺の目の前に何かバケツを引っくり返さんほどの大きさのパフェらしき物が置かれた
「・・唖然・・」
俺はパフェの姿に唖然とする
「はいどうぞ」
「有り難うございます」
ウエイトレスが栞に一つのスプーンを渡し、店の中に戻る
「祐一さん♪」
栞が俺の名前を呼んでパフェをすくったスプーンを差し出す
ってチョッと待て!
「し、栞それは・・・」
「パフェ...嫌いでしたか?」
そう言って目尻に涙を浮かべた上目遣いで俺を見つめてくる
その仕草が子供っぽいと思えるのだが、それも可愛いと思える
「そんな事無いぞ」
だから俺はその挑戦を受ける事にした。甘いな俺
差し出されたスプ−ンのパフェを食べる
「よかったです」
多分今の俺の顔は真っ赤になっているだろう
「いっぱい食べさせてあげますね♪」
そう言う栞はニコニコと可愛く微笑んでいる。しかし、その表情は悪戯に成功した子供の様だ・・・
栞め、俺の反応を見て遊んでいるな・・・
俺で遊ぼうなんて百億年早い事をその身に教えてやろう・・・
「しーおーり♪」
俺はパフェの一部を人差し指ですくって栞の顔の前に差し出す
「え?」
栞は少し困惑した様な表情になる
こんなちょっと困った感じの表情も・・・て違うがな
「俺ばっか食べさせてもらってちゃ不公平だからな」
ほらっと言って栞にパフェつきマイフィンガーを差し出す
「だ、大丈夫ですよ。スプーンありますから・・・」
顔を赤くして手を左右に振る栞・・・ふふふ、混乱してきているな
「そうか、そうだよな、」
ここで一旦引いておく、だがここで退く程俺は甘く無い
更にいじける事によって栞の母性本能を揺さぶる
そうすれば栞はそんな事無いと言ってくれるだろう
そこからは俺の時代だ
現に俺の故意に出した沈んだ声で栞の表情が俺を気遣うものに変わっている
計算を終え、勝利を確信した俺は最後の一押しをする
「俺の指に触れたのなんて汚くて食べられないよな・・・」
「そ、そんなことありません!!」
大きな声で反応する栞
・・・ふ、この時点でお前は俺に屈したのだ
「いや、いいよちょっと悪ふざけが過ぎた」
そう言ってさげようとした俺の手に衝撃が走った・・・
栞が砕きかねん程の速さと力で俺の手を掴んでいる
「あ、あの、シオリサン?」
やばい、なんか腕がミシミシッバキって音してるんですけど?
しかもうつむいてて表情が読み取れない・・・
・・・つーかこの細腕のどこにこれほどのパワーがある?
・・・もしかしてやり過ぎた?
俺が身の危険と栞の機嫌を図りかねていると、少しずつ栞が俺の手を自分に近づける
そして


・・・チュパ♪


栞が俺の指を舐め・・・・・・・・


鼻血!!!!!!

血・・
血が振っていた
真っ白なパフェにほとばしる鮮血が・・・
「っておいいいいいいいいいいいいぃぃぃ!!!!!!????」
俺は周りの事なんてお構い無しに(最初から気にしてなかったが)叫んだ
だが栞は自分の行為に意識がいっているようでまったく気付かない
しかも必死な表情がまた可愛い!!!
じゃねえっつの!!
このままでは俺の理性がああああああああ!!
「おれは、俺は相沢始だあああああああぁぁ!!!」
何かが混ざった気がするが気にしてる余裕は無い
なんだか自分の力に抗う戦士の気持ちが分かった気がするぞ・・・
「ふぅ・・・」
栞の声と共に手が自由になる
俺が本能との激闘を行っている間に作業を終わらせたようだ
もし長時間続いていたら俺は遣られていただろう・・・
「?・・・祐一さんどうかしたんですか?」
「い、いや、何でもないぞ!?」
キョトンとした顔で聞いてくる栞・・・
いつも天使に見える顔がちょっと子悪魔めいて見える
「あれ?パフェに何かついてますね」
栞は俺の鼻血のシロップのかかったパフェに目をやる
「サービスでトマトシロップを付けてくれたみたいだぞ」
先程の行為をぶり返す訳にもいかないので嘘をつく
「わぁ、ここもやってくれるんですね♪」
「ここ・・・も?」
も・・・ってどういうことだ?
「私、祐一さんに会う前にも、よく気がつくとシロップがかかっているっていう事があったんですよ」
「栞・・・それはさぞかし鉄分たっぷりだったんじゃないか?」
「祐一さん良く分かりましたね?」
「そりゃ分かるさ・・・」
付き合ってて何回もさりげなく血ぃ吐いてるのを見てればな・・・
「このシロップ、さらさらしてておいしいです♪」
食ってるし・・・ていうか俺の血さらさらか、どうやら健康的みたいで良かった
「そういえば・・・」
ここでふと浮かんだ疑問を話しだす
「栞はどうしてこんなの頼んだんだ?」
「え?」
スプーンの先を口で加えながらこっちに顔を向ける栞
「いや、何となく気になったんだ」
そう、それは嘘じゃないけどここ最近栞の様子が変だった
いつも明るく振舞っているが、時折とても寂しそうな表情をする
まるであの冬の時みたいに何か言いたいのを我慢しているように・・・
栞は少し沈黙してから微笑む
「北川さんに相談したら、このメニューを紹介してくれて」
「相談?」
「あっ」
しまった、と言うかのように手で口を塞ぐ栞
相談って事はやっぱり栞は何かに悩んでいたのか
でもどうして北川に相談したんだろう?
俺には話せない事なんだろうか?
そう思うと少し悔しい
だから聞いてみる
「どうして北川に?」
栞は顔をふせ俯く
「不安・・・だったんです」
「不安?」
栞はゆっくりと話す。けど、その声は少し震えている様に思える。
「私は・・・皆さんと違って幼い時の祐一さんとの思い出がないから」
「・・・どういうことだ?」
「あゆさん、名雪さん、真琴ちゃん、川澄先輩は小さい頃の祐一さんとの思い出があるのに・・・メインヒロインの中で・・私だけ・・祐一さんとの思い出が無いから・・・」
そう言うと栞は黙り込む
何だか最後のほうに気になる台紙が出たが・・・なるほど
栞は自分だけ小さい頃の俺との思い出が無いから拗ねているのか
でもそんな事、落ち込むほどのことかと思う
けど栞にとってはそんな些細なことも不安に思ってしまうんだな
確かに好きな相手のことは何でも知りたいと思うのが当たり前だ
俺だって栞との思い出が無いのは少し残念だしな
なら俺が今栞にできる事をして栞の不安を取り除いてやる
なぜなら俺は栞の事が好きだから・・・
俺は栞が置いたスプーンを使ってパフェを一口分自分の口に運ぶ
そして・・・
「栞」
俺の声に反応して栞が顔をこっちに向ける
俺は身を乗り出して右手を栞の頬に添える。
「ゆ・・・ん!?」
栞が話そうとする前に俺は栞の口を自分の唇で塞ぐ
好きだから栞の悲しむ顔は見たくない
これはその証だ
しばらく唇を重ね合わせた後どちらとも無く離れる
「ゆ!、祐一さん、い!、一体何を?」
栞が顔を真っ赤にして聞いてくる
目線は落ち着かず、おろおろしてる姿がまた可愛らしく、愛おしい
「まあ、俗に言う口移しだな」
平然と言ってのける、けど俺も真っ赤なんだろうな
顔の周りが凄く厚く感じる
けど・・・
「そ、そんなはっきり言わないでください〜!」
「俺は栞の事が好きだ」
「え?」
栞が固まってる・・・また口に出てたか、まあいい本当に伝えたいことだしな
「俺も栞の小さい時の事を知らないのは少し寂しいけど...別に良いじゃないか」
「え?、別に...って・・・」
あ、戸惑った顔になった
これはちょっと勘違いしてるな
「もう何も制限なんて無いんだ、だから俺たちが出会えなかった時間もこれからゆっくり教えあって知ればいいじゃないか」
「祐一さん」
「俺はずっと栞のそばにいる...」
これは誓いだ・・・どんな事をしても守ってみせる
思い出は確かに大切だ・・・
けれどそれだけに目を向けていては前に進めないと思うから・・・
「俺は今生きてるこの時を、栞と一緒に歩んだ思い出を作っていきたい」
「・・・祐一さん」
栞はどうなんだ、と言葉にしないで問いかける
「私も・・・祐一さんと一緒に思い出を作っていきたいです」
栞は少し目をふせ、頬を赤らめながら答えてくれた
自分の事を大切に思ってくれる最愛の人の思いがうれしくて・・・
俺たちはどちらからともなく微笑み、笑いあった・・・
そしてお互いにパフェを食べさし合いっこをし、回りの時を止めるような行為もしばしば行ってパフェを完食した


「ご、ごちそうさまでしたぁ〜」
レジ打ちの従業員の声を背に俺たちは店を出た
「どうでしたかお姫様?」
「とってもおいしかったです!それも今まで食べた中でも・・・一番」
眩しい笑顔で答え顔を赤くしてる栞
やっぱり俺はこの笑顔を見るのが好きだ
「俺も嬉しかったよ」
「本当ですか?」
「ああ、タダで食べれた上に賞金まで出たからな!」
そう、何だか知らないが賞金が貰えた
どうやらあの商品を頼んで熱愛っぷりを見せて完食すると賞金が貰えるらしい
「むぅー、そんなこと言う人嫌いですぅー」
頬を膨らましてそっぽを向く栞
まったく持って子供っぽいと思う、けれどこうやって拗ねた表情も可愛くて守りたくなる
そう考えてると栞がまた顔を赤くしている
風でも引いたのだろうか?
「祐一さんが恥ずかしい事言うからですよ」
またか・・・
もういいや、自分に突っ込むのも疲れる
・・・ていうか
「それ以上に恥ずかしい事しただろ?」
「そ、それを言わないでください〜」
またまた真っ赤になって非難する栞
こんな反応も可愛くて、それで更にからかいたくなってくる
「まさか栞があんな風に迫るなんて予想出来なかったぞ」
「むぅ〜、そういう祐一さんこそいきなり私の唇奪ったじゃないですか!」
「ば、お前こんなとこで誤解される様なこと言うな!」
栞の反撃に思わず慌ててしまう
「え〜?でも事実ですよ〜?」
そう話す栞の顔は笑顔だ
よく見ると栞の言葉に周囲の人の視線や内緒話が出始めてきた
「勘弁してくれ栞いぃぃー!」
「フフフ!祐一さん可愛いですよ♪」
その時の彼女の姿を俺は忘れないだろう
夕日を背に、人差し指を口元に持っていった彼女の笑顔は
とても綺麗だった
その笑顔が見れた事が嬉しくて、照れくさくて、
それを誤魔化すように走り出す
「このっ待て!」
「祐一さんこっちですよ!」

俺たちは走り出した
大切な人と共に、掛け替えの無い思い出を作っていく為に・・・

・・・Fin

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