未○の国からはるばると
元旦。
外は、北風が容赦なく吹いてきてとても寒そうであった(注1)
だけど、そんなことにも関わらず、子どもの楽しそうな声が聞こえてくる。
コーン、コーン、コーンと、羽根突きをする音と供に。
そして、そんな中わたしは、程よく暖房の効いた自分の部屋で、アイスクリームを食べていた。(注2)
「のどかなお正月、今年はいいことがありそうです。」(注3)
こんなことをえんえん考えながら。
「いやあ、ろくなことがないね。」
突如、どこからともなく出てきたダミ声で、こんなことを言われた。(注4)
「美坂栞の姉は、三十分後には首を吊る、四十分後には火炙りになる。」(注5)
なんだ、わたしじゃないのか。
じゃあいいや。(注6)
………三秒後。
話が停滞することに気づいたわたしは、こう反応した。(注7)
「誰ですか?変なことを言うのは。そんなこと言う人嫌いです、出てきてください。」(注8)
反応が無い。
「…この世にはもう誰もいない、気持ち悪いです…。」
余りにも反応が無いので、こう考えて遊んだ。
考えれば考えるほど、恐ろしくなってきた。
やがて、その恐ろしさは、段々と興奮へと変換していった。
ああ。
もうだれも生き残ってないんだ。
「栞〜、寒くない?」
そう考えていると、突如お母さんがドアを開けた。
台無し。
「もう、勝手に入ってこないで!出てってよ!」
わたしは、壁を程よい強さで蹴飛ばした。(注9)
中学生男子並の内弁慶精神を最大限に前面に出して、お母さんには退室願った。
解説コーナーその1
注1…この日の天気は曇り時々晴れ、風速は二メートル、最高気温は三度、最小湿度は四十パーセント
注2…コッテの「僧」バニラ味、税込み百五円。ハーゲンダッツは高くて我々庶民には手が出ない。
注3…「は」は便利。今年「も」だと、去年はいい年だという前提が必要だし、今年「こそ」だと、去年は悪い年だという前提が必要。今年「は」だと、どちらにもとれる、多分。
注4…大山のぶ代さんみたいな声。マチャミが喉の風邪をひいて、その翌日に仕事をしたときの声では、この場合あてはまらない。
注5…美坂〜〜〜〜〜!そのときは、俺が、俺が、俺がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!(連れ去られていく)
注6…(さっきのことについて、傷だらけで生還)いいのか?
注7…世界記録は、二点八秒。日本記録はジャスト四秒。この地点で栞ちゃんは日本記録を更新してたのだ。
注8…「そんなこと言う人嫌いです」と、そう言えば、とりあえずこの人となる、大変便利な言葉。
注9…ホント、まずはこの地点で、代わりに色々と謝っておきます。申し訳ありませんでした。
まあ、それはそれとして、さっきの声の正体が分からずに不気味に思っていると、突如机がカタカタ動き始めた。
「ボクだけど、気に障ったかしら?」
「わ!」
わたしは思わず飛び上がった。
机の中から、真ん丸い顔をした青いタヌ…ネコ型ロボットではなく、ダッフルコートを着た小学生みたいな女の子が出てきた。(注10)
彼女の名前は分かるけど、あえて言わない。(注11)
「だ、誰!どこから来たんですか?何しに?名前は?電話番号は?銀行の暗証番号は!?」(注12)
「いっぺんにきかれても困るよ、ボク聖武天皇じゃないし。」
「それをいうなら、品川庄司でしょう?」(注13)
「そんなことどうでもいいんだよ〜(注14)。ボクはきみの姉をおそろしい運命からすくいにきた。」
わたしの質問を「どうでもいい」で片付けたあと、彼女は勝手に話を進めた。
「三十分後に首吊り、四十分後に火あぶり、五十分後にさらし首?」(注15)
「さらし首はキミの願望でしょ?」
く、このガキ、意外と鋭い…。
わたしの、姉を亡きものにして、小遣いを独り占め大作戦は、ここで失敗に終わったのか…。
そう思った後、彼女は平然とした顔で、つまりわたしの気持ちなど分からずに、平然とした顔で、平然と…、よくも平然とした顔で…!
(しばし沈黙) (注16)
えーと、平然とした顔で、こう言った。
「そんなのたいしたことじゃない。キミは年を取って死ぬまで…。」
「え、年取ってから死ねるんですか!?」
わたしは大喜びした。
一九九九年二月一日、わたしは既に死刑宣告同然のことを医者の仮面を被った薄汚れた大人にされていたのに…。(注17)
「訳が分からないけど…続けるよ。死ぬまでほとんど暗い土の中なんだ。」
「エーッ!」
ここで、それが「セミ」だとは気づいていたが、どうもここは天然だと思うので、あえてほおっておいた。(注18)
「でたらめいう人嫌いです、人の運命なんて分かってたまりますか!」
「それがわかるんだよ。どうしてかというとだね。」
「は、はい?」
解説コーナーその2
注10…青いのについて、具体名を出したら、後が面倒らしい。
注11…ここでクイズです、次の三択のうち、正解はどれでしょう?正解を当てて、錦糸町旅行を当てよう。1(銃声)。
注12…(うまく生還)暗証番号は、誕生日を入れると直ぐ見抜かれるので注意だ。
注13…聖徳太子だと思うけど、どうなんだろう。
注14…だいだひかるで読んでも空しくなるだけなのでやめておきましょう。
注15…美坂、美坂、美坂、みさかあああああああああああああ!!!!(奇襲攻撃)
注16…(病床より)このあと、腹いせに久瀬生徒会長の首に首輪を巻いて、閉めるところまで閉める実験を行い、そして使用済みの久瀬生徒会長をソープへ売った後、栞ちゃんは落ち着いたのでした。
注17…(市立華音から帰還)現在、日本での死刑は電気椅子で行っているらしいがどうか。
注18…天然かどうかは、貴方の一票にかかっていません。
「なにこれ?」
彼女は、部屋の隅に置いてあるものに目をやった。
言いかけたことを気にすることも無く。
「不良債権です。」
それを言った瞬間、彼女は不良債権にかぶりついた。(注19)
「うまいもんだなあ。」
こうやって、不良債権を処理してくれた。(注20)
ああ、こういう手があったんですね。
そして、あっという間に、全て処理された。
「生まれて初めて食べた、ごちそうさまんさ。」(注21)
古い親父ギャグを言ったあと、彼女は机の中へ潜っていった。
「??」
わたしは、この超常現象が実際のものか確かめるべく、机の引き出しの中を覗いた。
その後、最終確認として、その引き出しをひっくり返した。
机の中から、大量の合法ドラッグが出て来た。
あ、でもこの合法ドラッグは今は非合法になったんだっけ。(注22)
となると、つまり…。
「網走の夜って、寒いんですか?」(注23)
警視庁へファックスを送ってみた。
手元に丁度いい紙が無かったので、トイレットペーパーに書いて。
中々紙が向こうへ送られなかったため、23ロールほど送ったけど、24ロール目で飽きてやめておいた。(注24)
今度組長に聞いてみればいいやと判断して。(注25)
「やっぱりトリップだったんですね。あははは、じいつにくうだらない。」
部屋の隅に置いた注射器を見ながら、わたしは笑い飛ばした。(注26)
ここにあった不安なんて、完全にウソだと信じ込ませるために。
「おうい、あゆちゃん。」
どこからとも無く、そんな声が聞こえてきた。
「あれっ?あゆちゃんは?」
「およげ!たいやきくん」にでてくる人形みたいなおじさんが、机の中から突然出てきた。(注27)
わたしは、その場で固まった。
解説コーナーその3
注19…よいこはけっしてまねしてはいけませんよ。
注20…高確率で、不可能でしょう。しかし一応、成功した例が、西インドのどこかであったとか妄想だったとか。
注21…今ナウなのは、「ごちそう冬なのにさまぁーず」だ。
注22…二〇〇五年一月二十四日某新聞記事にて、合法ドラッグも取り締まるらしい。
注23…最低気温零下二十度、もう痛いのなんのって。行くときは、「痛いの痛いのとんでけ〜」を練習していくことを薦めます。
注24…紙そのものじゃなくて、あくまでデーターを送信するものだってことに気づいていないんだね、うん、初めてマトモに書いたかも。
注25…怖いので説明は差し控えさせていただきます。
注26…ここも、合法ドラッグだということを、念のため説明するだけ説明しておきます。
注27…むしろ、人形であ〜る。
「あゆちゃんの話は聞いたろ?今日から僕はたこ焼きで生計を立てるよ。希望は時給四千円で週休三日だったんだけど、職安のおじさんに叱られてね。佐祐理さんの言うとおり、タコが入っていないたこ焼きを屋台で作ることにしたんだ。佐祐理さんは何をやらせても素晴らしいんだもの。勉強もできる、容姿も良い、おまけに的確なアドバイス。だから、僕もうまく生計を立てることができるんだ。」(注28)
「ちょっと待てよ?かつみさん佐祐理さんってだれのこと?」(注29)
わたしは、この一方的に話をしてくるおじさんに対して、ようやくこう口を開いた。
「誰のこと?あゆちゃんから、この辺を取り仕切ってくれている、地上げ屋さんって聞かなかったの?」(注30)
おじさんがこう言った後、青くて丸いタヌキみたいなロボットが顔を出した。
「やあ、ごめ…。」
おじさんは、もぐら叩きの如く、その青い物体を叩き沈めた。
「やあ、ごめん。」
そして、何事も無かったかのように、あゆさんが机から顔を出した。
「あの、今の…。」
わたしがそういった瞬間、顔の横に弾丸が…。
……。(注31)
「ボクらは『華音町萌えるタイヤキ同盟』の者だ。」
ようやく、あゆさんたちは自分の正体について話し始めた。
「レンガを叩いてツタに登ったら、そこがつくえの中に続いていてね。」(注32)
「なんのことですか?」
わたしは、わけが分からないまま(いや、この話、最初から訳が分からないけど)、こう聞き返した。
「このタイヤキ屋のおじさんは栞ちゃんの愛の奴隷(はぁと)なんだ。」
「だから、きみは僕の配偶者。」(注33)
手元に落ちていたリボルバーを奴らに向けながら、わたしはこう反論しておいた。
「わたしはまだ殺す気は無いんですよ。だけど、殺す気が無い人が銃をこう構えますか?」
精一杯の脅しをわたしはかけてみた。
その気持ち悪い顔をまずは引っ込めろ。(注34)
そういう願いだけを込めて…。
解説コーナーその4
注28…長い。
注29…借金が凄い漫才師と間違ったように見えるけど、実際にそうだから始末におえない。
注30…地価高騰の波はとっくに去ったと思ったんだけど…。
注31…何でもないので気にしないで下さい。
注32…土管に入っても同等の効果が得られます。
注33…配偶者と書いて、フィナンセとでも読んどけ。
注34…勿論おじさんへ向かって。あゆファンを敵に回すほど、怖いもの知らずではない。と思う浅はかさ。
「あのね、きみだっていつかは大人になるだろう?そしたら旦那さんをもらうだろう?」
「そうですかね?」
リボルバーを構えたまま、わたしはこう返した。
「もらうんだよ、九年後に。」
「ほんとですか!?あ、相手はだれ?祐一さんじゃない?」(注35)
あえて、こう返してみた。
勿論、ここでタイヤキ屋のおじさんと答えたら、撃とうと思っていた。
お約束の天丼だということで。(注36)
「ドラ○もんとか言ったっけn。」
わたしは、おじさんを撃った。
これはこれで見事な天丼だと思いながら。
「アルバム見せてあげようか?」
倒れているおじさんの心配もしないで、あゆさんは羽リュックからアルバムを取り出した。(注37)
「キミの血痕写真。」
「ベタ過ぎます!」
下らなすぎて、思わずたなぴー突っ込みを炸裂させてしまった。
しかし、いつからわたしは吐血キャラになったのだろうか…。(注38)
「気を取り直して、キミの結婚写真。」
そこには、なんのひねりも無い、わたしとおじさんの顔を、別の写真の顔の部分にあわせた合成写真が映っていた。
「その後の生活。」
ここにも、ひねりのない合成写真。
「帰ってください、そんなこと言う人嫌いです!」
そう言いながら、わたしはほうきを振り回して、あゆさんを追い返した。
あまりにもひねりが無いために、わたしは頭にきて、お約束のことをしてしまった。
「どうせやるならもっとひねりを入れてですね…。」
そういっている間に、壁が倒れ、天井が落ちてきた。
わたしの部屋は瞬く間に崩壊した。(注39)
解説コーナーその5
注35…ここは勿論、お約束。略して、「約束…だよ(撲殺)
注36…(意識復活)ここでは、芸人用語。
注37…ニ次元羽リュック。
注38…教えてくれた方にはもれなく、通天閣ペーパークラフトの写真を差し上げるかもしれません。
注39…これは、まったく予定外の出来事。スタッフもあわてている。
なんだかんだ、あゆさんが来て、二十九分たった。
「あと一分で、お姉ちゃんは…。」
わたしは、なんともいえない気持ちになった。
一体どうなるんだろう、無事でいてくれることは願わないけど、でも原作では…。(注40)
しばらくして、たくさんの人食い土人の方々が、うちに上がりこんできた。(注41)
勿論お姉ちゃんめがけて。(注42)
わたしは、わくわくしていた。
これで、わたしのお小遣いは…。
ここで、TIME UP。
わたしは、命尽きた。
しまった、ツタがあることは、すなわち、某有名アクションゲームのように、時間制限があるのだった…。
解説コーナーその6
注40…原作って何のことだろうな、ワケワカラナイナァ。
注41…これはあくまでフィクションです。実際に人食い土人なんていないのでゴアンシンヲ。
注42…美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂美坂〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!(連行)
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