「自信がないので、一番最初に行かせてもらいます」
「抜け駆け先討ちツワモノの華、先手必勝ってことで一番は真琴達から」
 ゆっくりと天野さんが差し出そうとした封筒を、真琴と呼ばれた女の子がひったくって私の前に突き出しました。
 受け取る前に少し訊きたいことがあります。
 この二人は自信があるのか、ないのかどっちなんでしょう?
 それ以前に、この封筒には何か勝ち負けがかかってるんでしょうか?
 深い事情があるのかもしれません。
 何が入っているのかも気になりますし、ここは黙って受け取りましょう。




第5位 ぽりのーしす・ぱにっく!  Manukeさん   56.59 pts






「これ……物語ですか?」
「ええ、そうですよ」
 封筒の中に入っていたのは、短い物語でした。
 とっても楽しい楽しい物語。いえ、あの時は花粉でそれどころじゃなかったですけれども。
 今思い出してみると楽しい思い出です。
「あれ……?」
 何か不思議な感覚を覚えつつも、それがなんなのか分かりません。
 気のせい……かな?
「ねえねえ、栞。今のお話どうだった?」
「美坂さん、こういう時は感想を言うものですよ」
 真琴さんと天野さんが感想を促してきたところで我に返りました。
 まったく、どうしちゃったんでしょうか私は。こんな時にぼーっとして。
 でも、二人に言う言葉は決まってます。
 私はその時のことを思い出しながら……、
「とっても楽しかったです。これからも仲良くしてください」
 って笑顔で言いました。


「ところでさ、美汐。少し栞を見習ったら?」
「何をですか?」
「若々しいところ」


 ……しばらく天野さんと顔を会わせるのが気まずくなりそうです。


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