「次はボク達から」
「水瀬と水瀬のおふくろさんのにも劣らぬプレゼントだぞ」
 名雪さんと秋子さんが下がって、次に出てきたのはあゆさんと……さっきイチコロとか不穏当なことを言ってた男の人でした。
 あれ? よく見たら、この男の人もどこかで……。
 あ、思い出しました。祐一さんのクラスを訪ねた時に祐一さんに何か言っていた男の人です。
 祐一さんのお友達でしょうか?
「というより、秋子さん達が先で良かったかも……」
「……そうだな。シリアスな雰囲気の中でこれを出すのは勇気いるぞ」
 な、何か、受け取るのが怖くなってきました。
 いったい何を渡されるんでしょう?
「そういうわけで、はい栞ちゃん。ボク達からのプレゼントだよっ」
 丸聞こえのヒソヒソ話なんてなかったかのように笑顔で封筒を差し出すあゆさん。
 思いっきり不安です。それに、これを見たら後戻りできなくなりそうな予感が……。
 受け取るのを躊躇していると、あゆさんの隣の男の人が封筒の中から紙を取り出して言いました。
「変なもんじゃないから警戒しないでくれ。あ、自己紹介遅れたけど、オレは北川潤。相沢の相棒だ」
 さっきのイチコロという発言は、祐一さんの相棒だと聞けば妙に納得できてしまった……というのはここだけの秘密です。




第3位 『姉』  くろGさん   65.31 pts






 こ、これはっ――!
 それを読んだ途端、胸の奥底から熱いものが一気に噴き出ました。
 為すべき事を悟るとはこういうのはまさにこういう瞬間。
 もう、周りのものは何も見えません。
 ああ、どうして私はこんなに大切なことを忘れていたのでしょうか?
 貴女のことを一時も忘れないとお星様に誓ったあの日々は。
 でも、でも大丈夫です。
 今、お傍に参りますっ!

「あゆお姉様!」
「うぐぅーーー!?」

 ああ、この餡子の甘い香り。
 決してクリームやバニラのような洋風の上品な香りではありません。
 和風の、どこか庶民風な香り。でも、そこがいいのです!
 そのほのかな香り漂う、小さな唇のやわらかさといったら……。
「ふ、むっひゃらふぇー(す、すっちゃだめー)」
「ふぉほぉなひくしてください(大人しくしてください)」
 最高です!

 ちょっと周りを見回すと、他の方と目が合いました。
 私が頷くと、皆さんも頷きます。
 どうやら、皆さんも同意見のようです。

「…お姉様」
「…姉様」
「…お姉ちゃん」
「…姉さん」
「…おねえたま」
「…ねえや」
「…姉貴」
「…お姉」

「うぐぅぅぅぅぅぅ、今度はなにーーっ!?」

 皆さん、楽しそうにあゆさん『で』遊んでました。
 やっぱりあゆさんは楽しい人です。



「なあ、相沢……オレ、月宮と組む必要あったのか?」
「勿論だ」
「その理由は?」
「あゆ一人に任せておくと話が進まん」
「……なるほど、納得した」


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