もみくちゃにされたあゆさんが目を回してしまったところで、おおはしゃぎの時間は終わりました。
気のせいか、一番はしゃいでたのはお嬢様風の見知らぬ女の人だった気がします。
そして、次に私の前に出てきたのはそのお嬢様と凛々しい女の人でした。
「初めまして、倉田佐祐理です」
「…川澄舞」
「あ、初めまして。美坂栞です」
どこかで会ったことは? と思って記憶を探っていましたが、やっぱり初対面だったみたいです。
「佐祐理達からはこれですよー」
佐祐理さんから差し出された封筒を受け取って、中に指を入れます。
あれ? 何も……ない……?
いえ、広げて中を覗くと何かがありました。
小さな紙切れに書かれていた一文字の漢字は……。
それが目に入った瞬間、周りの景色が崩れて私は何もない空間に立っていました。
どこかに飛ばされていく私の意識。
そこに聞こえてきたのは舞さんの声でした。
「大切な人を忘れないで」
……と。
第2位 栞 2%さん 67.56 pts
うそ……。
何かの冗談です。
お姉ちゃんは私のお姉ちゃんじゃなかったなんて。
嫌っ、怖いです。
それが本当のことだって分かってしまう自分がいて……。
「……お姉ちゃんは、もういません」
「あたしに妹なんていないわ」
嘘です! これは何かの間違いです!
こんなこと、こんなことってあるわけありません。
こんなのを私に見せてどうしたいんですか!?
――もう止める?
頭の中にそんな声が聞こえてきました。
当然です。こんなデタラメなんて!
そう口にしようとして、私は思いとどまりました。
私はまだこの話を最後まで見てません。
最後まで見ないで見限っちゃうなんて、きっと良くないことです。
「続けてください。今度は目を背けたりしませんから」
――わかった。
それからまだ少し、信じられないことが続いて。
でも、最後は……。
目を開けると、私は封筒から取り出した紙切れを手にしていました。
時間は、まったく経過していないようです。
白昼夢? そう思って周りを見回すと、微笑んでいる佐祐理さんと顔が合いました。
「いかがでしたか?」
嘘じゃない。佐祐理さんの表情からそう感じました。
今のは、佐祐理さんが……いえ、舞さんが私に見せた紛れもない現実。
「…見つけた?」
「はいっ。お姉ちゃんは、私の大切な人です」
例え、今私が見たのが真実だったとしても……。
お姉ちゃんが私のお姉ちゃんであることに変わりはありません。
「なあ、栞。俺は?」
「わっ、もちろん祐一さんも大切ですよー」
「そうか? 何だか忘れられてるような気がしたんだが……」
「気のせいです気のせい」
今の舞さんに見せられたお話でも忘れちゃってたってのはナイショです。
幸い、お話を見たのは私だけだったみたいですし。
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