1位――
爽やかな風が通り抜けるお話――


「……えっと、自転車こんぺ?」
「それはいくら何でも飛びすぎだと思うよ……」
「でも、凄く気持ち良さそうだよね〜、びゅんびゅんって」
「うん。それに凄く楽しそうだよねっ」

 二人で、えへへって笑う。
 読んで。想像して。それは、とても心地よい一時。だって、とても素敵なお話。
 ――だから、ありがとうって。みんなが言いたくなるようなお話。だから今、ここに。


第1位 風吹さいくりんぐ  なげさん   80.37 pts



「というわけで、第1位は前夜祭と同じく自転車作品、なげさんの『風吹さいくりんぐ』でしたっ」
「おめでとうございます〜」

 ぱちぱちぱち、と二人して小さな手で拍手。

「点数とか……ダントツだったみたいだね。11pts差……」
「うん。それでえーと、北川君と……栞ちゃんだね」
「北川君も多かったね……1位から3位まで並んでるよ?」
「じゃあ、猫さん自転車に乗った北川君こんぺ?」
「なゆちゃん、だからって混ぜちゃだめだよっ」

 分かってるよ……って呟く。呟きながら取り出すは、ガリガリくん。司会のご褒美。
 かぷっと食べて。甘さに頬を緩ませて。

「あ、ずるいよっ」

 同じように、慌ててあゆも取り出して、一口。やっぱり、頬を緩ませる。

「しあわせだよね〜」
「うん」

 司会のことを忘れたかのように、アイスに没頭する二人。ゆったりとした雰囲気が流れる。

<誰かが笑っていれば、それは嬉しいことなのだ。>

 それはこのお話の言葉。――このお話の中の、そして、このお話に当てはまる、言葉。


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