商店街の近くに車を停めて、あたし達はぶらぶら歩く。
「この辺りよ」
そう言ったとき、あたしたちの横を、やけに元気のいいカップルが通り過ぎた。
第3位 「世界の中心で、メガネをさけぶ」 つうじいさん 63.34 pts
「……」
申し訳なさそうなあゆちゃんと、固まっている相沢君を少し離れたところで眺めながら、あたしは大きな溜め息を吐いた。
「バカばっか、ね」
「……」
「……どうしたの?」
彼はあたしの顔に視線を固定したまま、石になったように動かない。
悪い予感で頭が痛くなってきた。取り敢えず、車に戻ろうときびすを返す。彼も慌ててついてきた。
ややあって車に乗り込んだとき、彼は漸くごくりと唾をのみ、予想通りの言葉を呟いた。
「美坂、メ、メガネなんて掛けてないか?」
「今のところ持ってないわ」
彼は実に残念そうな表情で、頭を垂れてハンドルを握った。
車はとぼとぼという形容が正しいような走り方で次を目指す。
あたしはもう一度、大きな溜め息を吐いた。
「あのねえ……」
「ん?」
「視力、確かに少し落ち気味だから、もしかしたらそのうち掛けるかも知れないわね」
車の行き足が生き返ったように速くなったのは、恐らく気のせいではないだろう。
あたしはまた、額を押さえた。